🔑 相続登記とは

「不動産の相続登記」とは、相続によって不動産の所有権が移転した場合に、その内容を法務局で登記(登録)する手続きのことを指します。これにより、名義を亡くなった人(被相続人)から相続人に変更することができます。

🔑 相続登記の基本ポイント

✅ 1. 相続登記は原則「義務化」

2024年4月1日から、相続による不動産登記は 義務化 されました。具体的には、相続が発生したことを知った日から 3年以内 に登記を行う必要があります。

  • 正当な理由なく怠った場合:10万円以下の過料が科されることがあります。

✅ 2. 必要な主な書類

以下の書類が基本的に必要です

書類名  説明
被相続人の戸籍(出生~死亡まで)  相続人の確定に必要
相続人全員の戸籍(現在のもの)  相続人であることの証明
被相続人の住民票の除票、戸籍の附票  最終住所の確認に使う
相続人全員の住民票  名義変更先の確認に使う
遺産分割協議書(ある場合)  相続人が複数いる場合、分割内容を明記
相続人全員の印鑑証明書(ある場合)  遺産分割協議書に押印した実印のもの
不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書  不動産の情報・登録免許税計算に必要

 

✅ 3. 登録免許税(費用)

登録免許税は、不動産の固定資産評価額の0.4%(1000分の4)が基本です。

✅ 4. 手続きの方法

相続登記は以下のいずれかで申請可能です:

  • 法務局に書面で申請
  • オンライン申請(登記・供託オンライン申請システム)
  • 司法書士に依頼して代行してもらう

🔁 流れの概要(遺言書がないケース)

  1. 相続人の確定(戸籍調査)
  2. 不動産を取得する相続人の確定
  3. 遺産分割協議書等の作成
  4. 必要書類の収集
  5. 登記申請書類の作成
  6. 法務局へ登記申請
  7. 登記完了・名義変更完了

👨‍⚖️ 遺言書がある場合

遺言書に不動産の相続人が明記されている場合は、遺産分割協議書は不要です。公正証書遺言であればそのまま使えますが、自筆遺言の場合は家庭裁判所の「検認」が必要です。

以下が相続による所有権移転登記申請書のサンプルです。これは一般的なケース(遺産分割協議書に基づき、不動産を相続人1人が単独で相続する場合)を想定したものです。

📝 登記申請書(相続登記)サンプル

登記申請書

 

登記の目的  所有権移転

原因     令和◯年◯月◯日相続

相続人    大阪府茨木市◯◯◯◯

山田 太郎(やまだ たろう)

被相続人   大阪府茨木市△△△△

山田 一郎(やまだ いちろう)

令和◯年◯月◯日死亡

不動産の表示

所 在  大阪府茨木市◯丁目

地 番  ◯番◯

地 目  宅地

地 積  100.00平方メートル

申請人    大阪府茨木市◯◯◯◯

山田 太郎

 

添付書類

1. 被相続人の戸籍(出生から死亡までの一連のもの)

2. 相続人の戸籍(現在のもの)

3. 被相続人の住民票除票、戸籍の附票

4. 相続人の住民票

5. 遺産分割協議書

6.相続人全員の印鑑証明書

7.固定資産評価証明書

8. 代理権限証書(※代理申請の場合)

9. 登記識別情報または登記済証(※被相続人の登記簿上と死亡時の住所のつながりが公的証明書でつかない場合)

 

登録免許税  金◯◯◯◯円(評価額◯◯◯万円 × 0.004)

日付     令和◯年◯月◯日

法務局    大阪法務局 北大阪支局 御中

申請人    〒567-0000 大阪府茨木市◯丁目◯番◯号

山田 太郎

電話 072-XXX-XXXX

💡 補足

  • 申請書はA4用紙・横書きで提出します。
  • 「不動産の表示」部分は、登記事項証明書(登記簿謄本)と全く同じ形式・内容で記載してください。
  • 相続人が複数いて共有になる場合や、遺言書がある場合は書き方が変わります。

 

以下は、不動産の相続登記を行う際に必要となる書類のチェックリストです。
一般的なケース(遺言書がなく、遺産分割協議による単独相続)を想定しています。

✅ 不動産相続登記の必要書類チェックリスト

チェック 書類名 説明
被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本  相続人の確定のため。除籍・改製原戸籍を含むことがあります。
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票  被相続人の最終の住所確認に使います。登記簿上の住所と一致する必要あり。
相続人全員の戸籍謄本  相続関係の証明に必要です。
相続人全員の住民票  新しい所有者(相続人)の住所を登記するために使用します。
遺産分割協議書  相続人全員の署名・押印(実印)+印鑑証明書が必要。共有を避けたい場合に重要。
遺産分割協議書に署名押印した全員分の印鑑証明書  有効期限は原則3か月以内が望ましい。
不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)  対象の不動産情報を確認。
固定資産評価証明書(市区町村役場で取得)  登録免許税の計算に必要。登記申請時の年度のもの。1/1~3/31は前年度のもの。
登記申請書  法務局へ提出。申請内容、相続関係、不動産情報などを記載。
委任状(任意)  司法書士や代理人が申請する場合に必要。

 

💰 その他

  • 登録免許税:不動産の固定資産評価額 × 0.4%(1000分の4)

💡 補足

  • 相続人が未成年者や認知症の方の場合は、特別代理人選任申立や成年後見人選任申立などが別途必要です。
  • 登記済権利証や登記識別情報は原則、不要ですが、被相続人の登記簿上と死亡時の住所のつながりが公的証明書でつかない場合は必要となります。

司法書士に相続登記を依頼する場合の手順とポイントを以下にわかりやすくまとめました。

🧾 司法書士に相続登記を依頼する方法

✅ 1. 司法書士を探す

以下のような方法で、相続登記に強い司法書士を探します:

  • 司法書士会の公式サイト(全国の検索が可能)
    例:日本司法書士会連合会
  • 地元の法務局に近い司法書士事務所
  • 知人からの紹介
  • ネット検索・口コミサイト(「◯◯市 相続登記 司法書士」などで検索)

✅ 2. 相談(初回面談)

多くの司法書士事務所では、初回相談無料の場合が多いです。

当事務所は、初回相談無料です。
相談時に以下の情報を伝えるとスムーズです:

  • 被相続人の氏名・死亡日
  • 相続人の構成(例:配偶者と子2人)
  • 不動産の所在地・数
  • 遺言書の有無
  • 遺産分割協議の進行状況

👉 事前に戸籍や不動産の登記簿(登記事項証明書)を持参できるとベター

✅ 3. 見積もりの提示

司法書士は以下を基に費用の見積もりを出します

費用項目  内容
登録免許税  固定資産評価額の0.4%(法定費用)
報酬  5万円〜12万円程度が相場(事務所による)
実費  戸籍謄本や評価証明書などの取得費用、郵送代など

 

✅ 4. 依頼契約・委任状提出

正式に依頼する場合は、委任状に署名・押印し、必要書類を預けます。

✅ 5. 登記申請 → 完了報告

司法書士が法務局に登記申請を行い、通常1〜2週間程度で完了します。
完了後、以下が返却・報告されます:

  • 登記完了証
  • 登記識別情報(新しい名義人用)
  • 預けた原本類(※一部原本還付)

💡 司法書士に依頼するメリット

  • 書類収集・申請の煩雑さから解放される
  • 法的に複雑な相続(代襲相続、認知症の相続人など)にも対応
  • 登記漏れ・書類不備の心配が減る

📎 司法書士選びのチェックポイント

チェック項目 内容
相続登記の経験が豊富か  実績や専門分野を確認
明朗な料金体系  報酬・実費・税金の内訳がはっきりしているか
初回相談無料か  費用をかけずに比較しやすい
レスポンスの速さ・丁寧さ  連絡のしやすさも大切