🔹 登記識別情報(とうきしきべつじょうほう)とは?

登記識別情報は、不動産登記において「本人確認のための情報」として使われる番号(または情報)です。従来の「登記済権利証」に代わるもので、法務局によって平成17年(2005年)3月7日から導入されました。

 

🔹 変遷の概要

時期  内容
戦前~2005年  登記済証(登記済権利証)が使用されていた。紙媒体。偽造や盗難のリスクがあった。
2005年3月7日~  登記識別情報制度が導入。電子化を進める中で、12桁の英数字による認証番号が登記完了後に発行される。紙の「通知書」として交付。
その後  セキュリティ対策として、通知書は厳封されて交付。オンライン申請との親和性向上。本人確認制度の強化。電子証明書との併用も。

 

🔹登記識別情報の基本概要

項目  内容
正式名称  登記識別情報(とうきしきべつじょうほう)
目的  登記申請時の「本人確認」のための証明
導入日  2005年(平成17年)3月7日以降の登記から適用

(ただし、各法務局によって導入日が異なり、その日のことをオンライン指定日という。以下法務省ホームページにて確認できる。)

形態  通知書形式(ただし内容はマスキングされて(覆い隠して)交付)
内容  英数字12桁のランダムな番号(例:A1B2-C3D4-E5F6)
対象となる登記  所有権移転、保存、抵当権設定など新しく所有者、抵当権者となり、権利を有する者として記載される登記

 

🔐 登記識別情報の特徴

✅ 本人しか知らない「秘密情報」

  • これはあくまで本人確認のための認証情報であり、「権利証」そのものではありません。
  • 他人に知られると不正な登記申請に用いられるおそれがあるため、非常に厳重な管理が求められます。

✅ 通知の形で交付される

  • 登記が完了した際、法務局から「登記識別情報通知書」という紙が交付されます。
  • この通知書には、識別情報部分が袋とじや目隠しシールでマスキングされており、本人が剥がすまでは内容が分からないようになっています。

✅ 電子申請との親和性が高い

  • 電子申請では、識別情報の番号を入力することで本人確認が完了します。
  • 書面申請の場合も、通知書(番号部分含む)のコピーを添付するか番号を記載します。

 

❗ 紛失・漏洩時の対応

登記識別情報は再発行できません。次のような手段で対応します

状況  対応策
紛失  「本人確認情報制度」による手続き(司法書士等のサポートが必要)。「事前通知制度」
第三者に知られた  法務局に「不正登記防止申出」を行い、不正登記を防止。失登記識別情報の「失効」の申出ができる

 

🔹 現在の登記識別情報の動向・今後の展望

  • 完全電子化の流れの中、登記識別情報の取り扱いもシステム的に管理され、オンラインでの申請が主流に。
  • 登記識別情報の代替として、マイナンバーカードや電子署名の活用が今後広がる可能性あり。
  • 不正取得を防ぐための技術的・法的対策が継続的に強化中。

 

🔍 登記制度の比較表

項目  登記済証(旧制度)  登記識別情報

 (現行制度)

 本人確認情報制度

 (補完制度)

開始時期  明治時代から~2005年3月6日  2005年3月7日~  同上(識別情報が無い場合に使用)
本人確認の手段  権利証(紙媒体)の提示  12桁の英数字による識別情報  資格者(司法書士等)による本人確認書面
発行形式  紙(登記済証)  紙で通知書が交付されるが、内容は電子情報  書面による申出書、身分証の写しなど
再発行  不可(再発行なし)  不可(同様)  制度自体が補完手段なので不要
紛失時の対応  本人確認情報制度などの補完手段を利用  本人確認情報制度などの補完手段を利用  再度提出(ただし手続きが煩雑)
オンライン申請との親和性  なし  高い(電子申請で利用可)  対応可能(書面添付が多くなる)
セキュリティ面  紙なので盗難・偽造のリスクがある  他人に漏れた場合は不正登記のリスクあり  本人確認の正確性が高い(資格者が確認)
利用時の実務手間  権利証を保管し提出  識別情報を保管し入力・添付  司法書士等による別途手続きが必要
主な対象者  2005年以前の権利取得者  2005年以降の登記完了者  登記識別情報を紛失・未取得の人
手続きの簡便さ  普通  簡便(電子対応)  煩雑(面談・確認必要)
手続きにかかる費用  最も安価  標準的  やや高額(司法書士費用)
登記官による確認強度  中程度  中〜高  非常に高い

 

 

📝 登記識別情報通知書(見本)

(旧)登記識別情報通知】

(現)登記識別情報通知】