相続時精算課税制度とは

? 相続時精算課税制度とは

親や祖父母から、子や孫へ贈与された財産について、贈与時には一部しか税金を払わず、相続時にまとめて清算して課税する制度です。

(租税特別措置法 第70条の6など)

? 主なポイント

項目 内容
対象者 贈与者:60歳以上の父母・祖父母
受贈者:18歳以上の子・孫(※相続人に限る必要あり)
適用申告 最初の贈与年に贈与税の申告と特例の届出が必要(選択は撤回不可)
非課税枠 累計2,500万円までの贈与は贈与税がかからない
課税方法 非課税枠超過分には一律20%の贈与税がかかる
相続時 贈与された財産は相続財産に加算して、相続税で精算される

 

? 例:どういう場合に使う?

例1:早めに資産を移したい場合

  • 子が住宅取得や起業などでまとまった資金を必要としている。
  • 老後資金に余裕があり、親が早めに贈与したい。

例2:相続税対策

  • 生前贈与による相続税の分散を狙いたい。

(節税効果がないケースもあります。後に詳述しています。)

? 相続時精算課税 vs 暦年課税制度(比較)

項目相続時精算課税制度暦年課税制度
贈与税の非課税枠 累計2,500万円(1人あたり) 年間110万円まで(1人あたり)
贈与税率 2,500万円超過部分に一律20% 累進税率(10%~55%)
相続時の扱い 贈与財産を相続財産に加算 基本的に加算されない(3年以内贈与を除く)
向いているケース まとまった額の贈与をしたい場合 毎年少額ずつ贈与したい場合

 

✅ 活用事例①:不動産を贈与するケース

? 事例:親が子に自宅の土地を贈与
父(70歳)が息子(40歳)に自宅の土地(評価額2,000万円)を生前贈与したい

贈与者:父(70歳)
受贈者:息子(40歳)
贈与財産:自宅の土地(評価額2,000万円)
適用制度:相続時精算課税制度
贈与税:2,500万円以下(非課税枠)のため 0円
相続時の扱い:この2,000万円が相続財産に加算されて相続税の課税対象になる

? ポイント

  • 父の生前に土地の名義が息子に変わるため、将来の売却・活用も可能に。

✅ 活用事例②:住宅取得資金を贈与するケース

? 事例:祖父母が孫に住宅資金を贈与
祖父(65歳)が孫(23歳)に、住宅購入の頭金として現金1,000万円を贈与したい。

贈与者:祖父(65歳)
受贈者:孫(23歳)
贈与額:1,000万円
適用制度:相続時精算課税制度(+住宅取得等資金の非課税特例も併用可)
贈与税:2,500万円以下(非課税枠)のため0円
相続時の扱い:この1,000万円が相続財産に加算されて相続税の課税対象になる

? ポイント

  • 若い世代への資金移転がスムーズに行える。

✅ 活用事例③:子に事業資金を渡すケース

? 事例:親が子に会社設立資金2,500万円を贈与
父(68歳)が、起業する息子に2,500万円を贈与したい。

贈与者:父(68歳)
受贈者:息子(35歳)
贈与額:2,500万円
適用制度:相続時精算課税制度
贈与税:2,500万円以下(非課税枠)のため0円
相続時の扱い:この1,000万円が相続財産に加算されて相続税の課税対象になる

? ポイント

  • 相続税の負担が将来発生するが、早期の資金援助により起業が可能に。

(ただし相続財産が基礎控除以下なら、相続税もかからない)

? 制度の賢い使い方まとめ

利用目的相続時精算課税制度が向く理由
不動産の名義移転 高額な財産も一括で非課税贈与できる
住宅購入の資金援助 まとまった金額を早めに渡せる
子や孫の起業・学費支援 タイミングを逃さず資金提供できる
相続税が発生しない範囲での贈与 相続時に税負担ゼロの可能性

 

?節税効果が限定的になるケース

ケース理由
相続財産が基礎控除以下 相続税自体がかからないため。
暦年贈与で分散可能 110万円非課税枠を活用できるため。
相続時に評価額が上昇 相続時評価額で税負担が増えるため。
相続が近い 贈与税と相続税の負担が重なるため。
2,500万円超の贈与 超過分の贈与税20%負担が増えるため。

 

追記:相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

 

? 注意点、まとめ

  • 一度選択すると撤回できません
  • 贈与財産の評価は贈与時点の時価、でも相続税は相続時点の評価額で計算されます。
  • 節税にならないケースもあるため、専門家に相談するのがベストです。
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