🔷 相続時精算課税制度とは
親や祖父母から、子や孫へ贈与された財産について、贈与時には一部しか税金を払わず、相続時にまとめて清算して課税する制度です。
(租税特別措置法 第70条の6など)
🔸 主なポイント
| 項目 | 内容 |
| 対象者 | 贈与者:60歳以上の父母・祖父母 受贈者:18歳以上の子・孫(※相続人に限る必要あり) |
| 適用申告 | 最初の贈与年に贈与税の申告と特例の届出が必要(選択は撤回不可) |
| 非課税枠 | 累計2,500万円までの贈与は贈与税がかからない |
| 課税方法 | 非課税枠超過分には一律20%の贈与税がかかる |
| 相続時 | 贈与された財産は相続財産に加算して、相続税で精算される |
🔹 例:どういう場合に使う?
例1:早めに資産を移したい場合
- 子が住宅取得や起業などでまとまった資金を必要としている。
- 老後資金に余裕があり、親が早めに贈与したい。
例2:相続税対策
- 生前贈与による相続税の分散を狙いたい。
(節税効果がないケースもあります。後に詳述しています。)
🔸 相続時精算課税 vs 暦年課税制度(比較)
| 項目 | 相続時精算課税制度 | 暦年課税制度 |
| 贈与税の非課税枠 | 累計2,500万円(1人あたり) | 年間110万円まで(1人あたり) |
| 贈与税率 | 2,500万円超過部分に一律20% | 累進税率(10%~55%) |
| 相続時の扱い | 贈与財産を相続財産に加算 | 基本的に加算されない(3年以内贈与を除く) |
| 向いているケース | まとまった額の贈与をしたい場合 | 毎年少額ずつ贈与したい場合 |
✅ 活用事例①:不動産を贈与するケース
📘 事例:親が子に自宅の土地を贈与
父(70歳)が息子(40歳)に自宅の土地(評価額2,000万円)を生前贈与したい
| 贈与者: | 父(70歳) |
| 受贈者: | 息子(40歳) |
| 贈与財産: | 自宅の土地(評価額2,000万円) |
| 適用制度: | 相続時精算課税制度 |
| 贈与税: | 2,500万円以下(非課税枠)のため 0円 |
| 相続時の扱い: | この2,000万円が相続財産に加算されて相続税の課税対象になる |
🔍 ポイント
- 父の生前に土地の名義が息子に変わるため、将来の売却・活用も可能に。
✅ 活用事例②:住宅取得資金を贈与するケース
📘 事例:祖父母が孫に住宅資金を贈与
祖父(65歳)が孫(23歳)に、住宅購入の頭金として現金1,000万円を贈与したい。
| 贈与者: | 祖父(65歳) |
| 受贈者: | 孫(23歳) |
| 贈与額: | 1,000万円 |
| 適用制度: | 相続時精算課税制度(+住宅取得等資金の非課税特例も併用可) |
| 贈与税: | 2,500万円以下(非課税枠)のため0円 |
| 相続時の扱い: | この1,000万円が相続財産に加算されて相続税の課税対象になる |
🔍 ポイント
- 若い世代への資金移転がスムーズに行える。
✅ 活用事例③:子に事業資金を渡すケース
📘 事例:親が子に会社設立資金2,500万円を贈与
父(68歳)が、起業する息子に2,500万円を贈与したい。
| 贈与者: | 父(68歳) |
| 受贈者: | 息子(35歳) |
| 贈与額: | 2,500万円 |
| 適用制度: | 相続時精算課税制度 |
| 贈与税: | 2,500万円以下(非課税枠)のため0円 |
| 相続時の扱い: | この1,000万円が相続財産に加算されて相続税の課税対象になる |
🔍 ポイント
- 相続税の負担が将来発生するが、早期の資金援助により起業が可能に。
(ただし相続財産が基礎控除以下なら、相続税もかからない)
💡 制度の賢い使い方まとめ
| 利用目的 | 相続時精算課税制度が向く理由 |
| 不動産の名義移転 | 高額な財産も一括で非課税贈与できる |
| 住宅購入の資金援助 | まとまった金額を早めに渡せる |
| 子や孫の起業・学費支援 | タイミングを逃さず資金提供できる |
| 相続税が発生しない範囲での贈与 | 相続時に税負担ゼロの可能性 |
💡節税効果が限定的になるケース
| ケース | 理由 |
| 相続財産が基礎控除以下 | 相続税自体がかからないため。 |
| 暦年贈与で分散可能 | 110万円非課税枠を活用できるため。 |
| 相続時に評価額が上昇 | 相続時評価額で税負担が増えるため。 |
| 相続が近い | 贈与税と相続税の負担が重なるため。 |
| 2,500万円超の贈与 | 超過分の贈与税20%負担が増えるため。 |
追記:相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
🔻 注意点、まとめ
- 一度選択すると撤回できません。
- 贈与財産の評価は贈与時点の時価、でも相続税は相続時点の評価額で計算されます。
- 節税にならないケースもあるため、専門家に相談するのがベストです。