法務局での自筆証書遺言書保管制度について

 

🏛️ 制度の概要と背景

  • 開始時期:民法改正により、2020年7月10日から導入
  • 対象:手書きで全文・日付・署名・押印をした自筆証書遺言のみ
  • 設置場所:全国の指定された法務局の「遺言書保管所」にて受付 。

 

✅ 主なメリット

  1. 形式チェックによる不備防止
    申請時に形式(自書・日付・署名・印鑑)を法務局職員が外観で確認し、不備があればその場で指摘が受けられる。
  2. 紛失・改ざんリスクの回避
    原本・画像データを法務局で長期(原本は死亡後50年、画像データは150年)保存され、家族への通知設定も可能。
  3. 家庭裁判所による検認が不要
    相続開始後の検認手続が不要になるため、手続きがスムーズ。
  4. 相続人による検索や閲覧が簡単
    死後、相続人等は全国どこの法務局でも、遺言書の有無の照会や内容閲覧・証明書交付が可能。

 

✅ 主なデメリット

  1. 内容面の有効性は保証されない
    保管時のチェックは形式面のみ。内容の妥当性まで評価されるわけではないので、専門家への相談が推奨される。
  2. 申請は代理不可・本人出頭が必須
    代理人や郵送では申請できない。
  3. 制度対象外の遺言
    公正証書遺言や秘密証書遺言は対象外。
  4. 申請費用は一律
    申請料は3,900円/1件当たり。

 

🔁 手続きの流れ

  1. 遺言書の作成
    全文手書き(日付・署名・押印必須)。ただし財産目録はPC作成可。本籍記載の住民票、身分証明書も必要。
  2. 法務局への申請(要予約)
    住所・本籍・不動産所在地を管轄する法務局のうち、自筆証書遺言書保管所として指定されているところに申請。
  3. 遺言書保管所に本人が出向き、所定書式・収入印紙(3,900円)等を提出する。
  4. 保管と証明書の発行
    受付後、原本と画像を保管。原本返却不可。保管証が発行される。
  5. 追加・変更・撤回の手続
    変更・撤回は再度出向いて申請。返却された原本で手続き可能。
  6. 死亡後の対応
    相続人等は「遺言書保管事実証明書」「遺言書情報証明書」を請求可能。閲覧や原本確認も可能で、閲覧すれば全相続人に通知が届く。

 

📊 自筆証書遺言書保管制度と公正証書遺言の比較

項目 自筆証書遺言(保管制度あり) 公正証書遺言
作成方法 遺言者が自筆で作成 公証人が作成(遺言者が口述)
保管場所 法務局で保管(本人が申請) 公証役場で保管
作成時の関与者 遺言者のみ(代理不可) 公証人と証人2人が必要
本人確認 保管時に法務局で実施 作成時に公証人が実施
費用 保管手数料 3,900円 数万円〜(財産額に応じて変動)
遺言の有効性チェック 形式(押印・日付等)のみ確認 法的に有効な内容で作成される
家庭裁判所の検認 不要(保管制度を利用した場合) 不要
相続手続の円滑さ 公正証書ほどではないが比較的スムーズ 最もスムーズに手続可能
遺言の秘密性 高い(内容は本人以外確認できない) 低い(証人2人が内容を知る)
改ざん・紛失リスク 保管制度利用でほぼなし 保管されておりなし
遺言の撤回 可能(新しい遺言の作成などで) 可能(新しい遺言の作成などで)

 

💡 使い分けの目安

  • 費用を抑えたいが安全に保管したい → 自筆証書遺言(保管制度利用)
  • 確実・安全に遺言を残したい → 公正証書遺言
  • 手続きや記載内容に不安がある → 公正証書遺言(専門家の助言あり)

📝 自筆証書遺言書保管申請書の記載例(様式第1号)

【1】遺言者情報

フリガナ: ヤマダ タロウ
氏名: 山田 太郎
生年月日: 昭和30年1月1日
性別: 男・女(該当箇所に〇)
本籍: 大阪府茨木市○○町1丁目1番1号
本籍地の都道府県名: 東京都
住所: 大阪府高槻市○○町1丁目1番1号
電話番号: 090-1234-5678

【2】保管の対象となる遺言書の枚数

遺言書の枚数: 3枚(全てホチキスで綴じる)

【3】遺言書に係る事項

封印の有無: 無(※封筒に入れず裸のままで提出)
申請に関する特記事項: なし(基本的には空欄でも可)

【4】申請日

日付: 令和7年7月10日
署名: 山田 太郎(自署)

📎 提出時に必要なもの(チェックリスト)

必要書類  補足
✅ 自筆証書遺言書(ホチキス留め)  A4片面、白紙、片面使用、封印しない
✅ 申請書(上記の記載例)  手書きまたはPC可(押印不要)
✅ 本人確認書類  運転免許証、マイナンバーカードなど
✅ 手数料 3,900円  現金不可、収入印紙で納付